そ、そうだ、お金……。

 私は、封筒の中を恐る恐る確かめた。

 中には、ちょうどアパートの一ヶ月分の家賃くらいのお金が入っている。

 良かったあ。

 家賃は払える……。

 ってやばいじゃん。

 家賃を払ったらお金が無くなる!

 それに、今月の家賃を払えるとしても、来月分は払えない。

 どうしよう。

「……とりあえず、アルバイト探さなきゃ」

 私は、絶望しながらヘナヘナと床に座り込んだ。

 ああ、どうしてこうなっちゃったの。

 この瞬間、地味だけどそれなりに楽しかった私の高校生活が、ガラガラと音を立てて崩れたのでした。

 ***

「……というわけなの」

 私は、莉茉ちゃんにこっそり事のあらましを打ち明けた。

 莉茉ちゃんは大きな目をこれ以上ないくらい見開く。

「ええーっ、叔母さんが居なくなったの!?」

「うん、そうなんだ」

「でもそれって、お父さんやお母さんに言った方がいいんじゃないの。相談したら、お金とか援助してくれるよきっと」

「ダメだよ、そんなこと言ったら、フランスに一緒に住めって言われちゃうよ」

 この高校に受かるために必死で受験勉強したし、莉茉ちゃんや他の友達もいるし、そんなの絶対ダメ!