お昼休憩が終わり、お店に戻る。

「ただいま戻りました」

 すると、お店の中でぼうっとしていた秋葉が顔を上げる。

「おう、早かったな。もっと休憩しててもいいぜ、ヒマだから」

「……ヒマなの?」

 確かに午前中は少し人が少なかった。

 だけど今日は天気も良い。
 土曜日だから午後からは混むかもしれない。

 そう思って早めに戻ってきたんだけど……。

「ああ、少ないも少ない、ガラッガラ」

 どうしたんだろう。
 何か町内の行事でもあるのかな。

 不思議に思っていると、悠一さんが奥からやってきた。

「どうしたの、二人とも」

「いえ。今日は何だか人が少ないから、どうしたのかなぁって」

「ああ」

 悠一さんが困ったように笑う。

「それってもしかして、これのせいじゃないかな」

 悠一さんが差し出してきたのは一枚のチラシだった。

「これは……」

「金曜日に新聞に挟まってたんだ。今日、うちにお客さんが少ないのって、これのせいじゃないかな?」

 『和菓子庵・風雅、今週の土曜日オープン!』

 チラシには、オシャレな和菓子屋の写真が載っていた。

 これって……新しくできた和菓子屋さん!?