私はカチンコチンになりながらバーコードリーダーを手に取った。

 だけど――。

 あれっ? バーコードが読み込まない。
 
 私がバーコードリーダーに悪戦苦闘していると、横から秋葉の手が伸びてきて、私の手に重なる。

 ひあっ!?

「あー、これ、ちょっと古いから。もうちょっと離した方が読み込みやすいかも」

 耳元で秋葉の低い声がする。

 ……っていうか、近い、近い!

 顔も体も近いよ!

 全身が沸騰しそうに熱くなる。

「そ、そっかあ」

 私は頭が真っ白になりながらバーコードを読み込ませた。

 ピッ。

 あ、今度は上手くいったみたい。

「せ、1750円です」

 私が言うと、お客さんは二千円を取り出した。

「ここで、2000って打って決定ボタン」

「は、はいっ!」

 言われた通りに操作すると、お釣りが表示された。

 私は商品とお釣りの金額をお客さんに渡すと、頭を下げた。

「ありがとうございました!」

 お客さんは笑顔で去っていく。

 良かった。最初のお客さん、なんとかお会計できたみたい。

 私がホッとしていると、横にいた秋葉が笑顔で私の背中を叩いた。

「できたじゃん」

 わっ。

 今まで見た事ない、毒舌王子の柔らかい笑顔に胸がキュッとなる。