クラスメイトの卯月くんは、「世界遺産級イケメン」と呼ばれる美少年。

 色白の肌に、見ているだけで吸い込まれそうな大きな瞳。

 女の子みたいに整った顔立ちで大人気なんだ。

 ウワサによると、道を歩いてるだけでスカウトにあうし、他校からも女子が待ち伏せに来るんだとか。

 だけど――はっきり言って、私は秋葉くん、苦手なんだよね。

 髪も染めてるし、ピアスもしてて、不良っぽい。

 学校もしょっちゅうサボってるし、ウワサによると、他校生とケンカもしてるんだって。

 告白してきた女の子にも「ダメ」とか「ウザい」とかズバズバ言っちゃうんだとか。

 そのせいで、影でついたあだ名は「毒舌王子」。

 ファンの子たちによると、その可愛い顔と冷たい内面のギャップが良いってことらしいけど……。

 だけど私には正直、その良さは分からない。

 むしろ近寄りたくないタイプ。

 やっぱり男の子は、真面目で優しくなきゃ。

 不良なんて最低!

 ……って、そんなことよりバイト探し、バイト探しっと。

 私はパンパンとほっぺたを叩いた。

「毒舌王子なんかより、まずはアルバイトを探さなきゃ」