二人で参拝者の列に並び、十分ほど待って、ようやく順番が回ってくる。
えーっと、二礼、二拍手、一礼だっけ。
私がモタモタしている間に、秋葉は隣で祈り始めた。
私も慌ててお賽銭を投げ、手を合わせる。
でも何を祈ればいいんだろう。
前もって何にも考えていなかったから、いざお参りとなると慌ててしまう。
とりあえず、お店が繁盛しますように。それからそれから――。
「終わった? 行こうぜ」
お祈りを終えて顔を上げると、秋葉と目が合う。
秋葉もちょうどお祈りを済ませたところみたい。
「うん」
二人で薄く雪の降り積もった石畳を歩く。
「秋葉、お祈り長かったね」
「そうか?」
「うん。私より早くお祈りを始めたのに、終わるのが私より遅かったし」
「ああ」
秋葉が照れたように笑う。
「別に大したことじゃねーよ。花帆と一緒に、末永く兎月堂をやっていけますようにって祈ってたんだ」