「おい」

 すると、怖い顔をした秋葉くんが清ちゃんの腕をつかんだ。

「お前、花帆に近づくんじゃねーよ」

「秋葉!?」

 私が戸惑っていると、秋葉は私の肩をぐいっと抱いた。

「花帆は俺の彼女なんだから、俺以外の男と仲良くしちゃダメ」

「もうっ、秋葉ったら――」

 なんか、本当の彼氏彼女になってから、独占欲が増してない!?

 私がオロオロしていると、清ちゃんはフンと鼻で笑った。

「おやおや、とんだ甘えん坊王子だな」

「――はあ? 何言ってやがる」

 否定しようとした秋葉だけど私は思わずプッと笑ってしまった。

「あはは、甘えん坊王子だって! 暴れん坊将軍みたい!」

「こら、花帆まで笑うなっつーの!」

 そしてこの日から、秋葉くんには新たなあだ名が追加された。

 「世界遺産級イケメン」
 「毒舌王子」


 そして――。

 「激甘王子」。



「なあ、花帆。ギューってして」

「学校ではイヤ」

「じゃあ家ならいいの?」

「バカじゃないの?」

「バカで結構。だって、好きなんだもん」


 私を見上げていたずらっぽく笑うその顔は、悔しいほど整ってる。

 くそう。

 私も、すきだよ。

 私は秋葉をぎゅーって抱きしめてささやいた。

 ビターで甘い、

 キミのことが好きだよ。