「約束の時間より少し早いけど、準備は良さそう?」

「はい。今日はよろしくお願いします」

「うん、よろしく」

 私が頭を下げると、店長さんは小さくうなずいた。

「んじゃ早速だけど、そこのダンボール、運んでいい?」

 卯月くんが部屋のすみのダンボールを指さす。

「はい」

 あっ、そのダンボール、結構重いはず――。

 だけど、卯月くんはひょいとダンボールを持ち上げると、テキパキと外に運び出していった。

 半袖の袖からのぞく、意外と筋肉質な腕。

 びっくりした。卯月くん、細身だし女の子みたいな顔なのに、あんなに力持ちだなんて。

 やっぱり男の子なんだなぁ。

 なんだか……ドキドキしちゃう。

 三人で軽トラックにダンボールを乗せていく。

 最初は三人だけじゃ大変かなと思った。

 だけど、朝から引越し作業を始めて、何だかんだで昼前には新居に到着した。