ビターなアイツと甘い関係 ~毒舌王子と同居して、ナイショの甘いバイトはじめました~


 真剣な実咲さんの瞳。

 私はゴクリとつばを飲み込み秋葉を見つめた。

 秋葉はびっくりしたように目を見開くと、小さく息を吐き出し、ゆっくりと実咲さんを見すえた。

「……どうやらお前は勘違いをしてるみてーだな」

「勘違いって?」

 秋葉は顔をぐっと上げ、真正面から実咲さんを見すえた。

「花帆は、大人しく見えるかもしれないけど、自分の意見をちゃんと持ってるし、他人を思いやれる。体は小さいけど、俺やお前よりずっと大人だよ」

 秋葉は静かに、だけどハッキリと言葉をつむいだ。

「僕が花帆をを好きなのはな、一緒にいて安心できるからだ。家や学校で、ただくだらねー話をしてるだけでも楽しいんだよ。だから――」

 秋葉の瞳が真っ直ぐに実咲さんを見すえる。

「だから俺は花帆と一緒にいたい。ずっと一緒にいたいんだ」

 秋葉くん……!

 じぃんと胸が熱くなる。

 分かってる。これは実咲さんを帰らせるためのウソ。

 秋葉の本心じゃない。本気にしちゃいけない。だけど――。

 嬉しかった。

 あまりにも嬉しくて。

 胸が熱くなって、心の底から力が湧き出してくる。