秋葉が入口に「準備中」の看板を出し、イスを持ってくる。
私は新しいタオルを出してきて実咲さんに差し出した。
「これタオルです。あとこれ、私のパーカー。服が濡れてると寒いと思うので。あの、Tシャツとかも貸しましょうか」
実咲さんは幽霊みたいに血の気のない顔で私を見つめた。
「ううん、大丈夫。すぐに帰るから」
あっ、やっぱり実咲さん、怒ってるのかなぁ。
「そうですか。あの、私、二人で話したいなら向こうに行ってますか?」
「いやいいよ。気にしなくて」
秋葉が首を横に振る。
気にしなくて良いって言われても、こっちは気にするんだってば。
とりあえず実咲さんにお茶を出して座るようにうながす。
実咲さんは少しほっとした顔になったけどすぐに鋭い顔つきに戻ると、真っ直ぐに私を見つめた。
「あなた――花帆さん、私のこと、だましたの?」



