ビターなアイツと甘い関係 ~毒舌王子と同居して、ナイショの甘いバイトはじめました~

「ただいま。花帆、タオル持ってきてくれねーか」

 秋葉が店のドアを開け入ってくる。

 降りしきる雨。

 秋葉の後ろには、びしょびしょに濡れた実咲さんが立っていた。

 ――あ。

 寄り添うように立った二人はとてもお似合いに見えて、心臓が張り裂けそうな音を立てる。

 私は慌てて二人から目をそらした。

「あっ、うん、タオルだね。分かった。あの、ドライヤーとかは……」

「実咲、ドライヤーいる?」

 秋葉が尋ねると、実咲さんは青白い顔で首を横に振った。

 濡れた髪が、白く長い首や額に垂れる。

 雨でメイクはほとんど取れかかっているのに、実咲さんはびっくりするほどキレイだった。

「じゃあタオル持ってきます」

 ドギマギしながら奥からタオルを取りに行こうとすると、とつぜん秋葉が腕をつかんだ。

「ひゃっ」

「悪い、実は実咲に花帆のこと彼女だって言っちゃったんだ。悪いけど話、合わせてくれねぇ?」

「わ、分かった」

 とっさに返事をして、はたと気づく。

 それだと私、秋葉と付き合っていながら、実咲さんに協力しているってことになってしまうんだけど!?