ビターなアイツと甘い関係 ~毒舌王子と同居して、ナイショの甘いバイトはじめました~


 しばらく接客をし、気がつくと窓の外が光ってゴロゴロと雷の音がした。

 風がガタガタと窓ガラスを揺らす。雨音もずいぶんと強くなってきた。

「雷……」

 まさか実咲さん、まだ居るなんてことないよね?

 私は窓の外をのぞきこみ、実咲さんの姿を探した。

 そして私の悪い予感は的中した。

 あ。

 いた。

 びしゃびしゃと降り注ぐ雨の下に、実咲さんの白いブラウスが見えた。

「実咲さ――」

 窓を開け、声をかけようとすると、実咲さんに向かっていく人影が見えた。

 お店の中からでも間違いようがない。秋葉だ。

 秋葉は、ゆっくりと傘を実咲さんに差し出した。だけど――。

 実咲さんは傘を受け取らなかった。

 代わりに、実咲さんはしっかりと秋葉に抱きついて、胸に顔を埋めた。

 ドラマのワンシーンのように抱き合う男女。

 ゆっくりとスローモーションのように地面に落ちる傘が、私の目に焼き付いてどうしても離れなかった。