ビターなアイツと甘い関係 ~毒舌王子と同居して、ナイショの甘いバイトはじめました~

 今日は、秋葉が補習で家に帰ってくるのが遅い。

 そこで、私一人でバイトに入っていた。

 今日は天気が悪くて、朝から雨が降ったりやんだり。お客さんも少ない。

 そろそろハロウィンの飾り付けかな。その次はクリスマス。

 なんて思いながら私がお店の窓を拭いていると、店の前に見覚えのある後ろ姿を見つけた。

「実咲さん」

 実咲さんは、長いツヤツヤした髪をなびかせて振り返る。

「あっ、こんにちは」

「あの、秋葉……くんは補習で遅れてまだ帰って来ませんけど、中で待ちますか?」

 私が言うと、実咲さんは首を横に振った。

「ありがとう。でも、私、ここで待ってる」

「そうですか」

 そこでタイミングよく、他のお客さんが入ってきて、私と実咲さんの会話はそこで終わった。

 しばらくして、ポツポツと雨が屋根を叩く音がした。

 私はチラリと実咲さんを見た。

 屋根の下にはいるけど、そろそろ帰らないと濡ちゃうかも。

「あのー、実咲さん、これ」

 私は傘を取ってくると実咲さんに渡そうとした。

 だけど実咲さんは首を横に振って受け取ろうとしない。

「いいの。屋根もあるし」

「でも雨も強くなってきましたし、秋葉くんもいつ帰ってくるか分からないですし、もう帰った方が」

「ありがとう。でも、ここで待ちたいから」

「そう、ですか」

 実咲さんのかたくなな態度に根負けした私は、黙ってお店の中に帰るしかなかった。