ビターなアイツと甘い関係 ~毒舌王子と同居して、ナイショの甘いバイトはじめました~


 私は少し考えて言葉を選びながら答えた。

「今はお客さんも増えましたし、商品開発とかできっと忙しいんだと思います。ほら、秋葉……くんって用事がないと連絡しないタイプですし」

「確かにそうかも。あの人はそういうタイプだから」

 実咲さんはそっと目を伏せる。

 長いまつ毛が陶器のような肌に影を落とした。

 うわあ、本当に美人。

 秋葉ったら、こんなキレイな人とどうして別れたんだろう。

 実咲さんが悲しそうに手元のアイスコーヒーに視線を落とす。

「実は私、高校に入る時に秋葉と別れたんだ。別々の高校に進学して――いわゆる自然消滅ってやつ」

「そうなんですか」

「秋葉とは長い付き合いでね、中一から三年も付き合ってたの。私、あのころは秋葉と絶対に結婚するんだって、なんとなく思ってた。結局ダメだったけど」

「三年も……」

 秋葉と実咲さん、そんなに長い間付き合ってたんだ。

 ズキンと胸が痛む。

 心臓が痛くてたまらない。

 今すぐこの場を逃げ出したくてたまらなかった。

 実咲さんはガバリと頭を下げた。

「ねぇ、突然こんなお願いして悪いけど、私と秋葉がよりを戻すのを手伝ってもらえないかな」

「えっ」

「ね、お願い。私たち別れてしまったけど、嫌いあって別れたわけじゃないの。会えばきっとまた昔を思い出してくれると思う。だから――」

 実咲さんの水晶みたいに澄んだ目がこちらをじっと見つめる。

「だからお願い。私と秋葉の仲をとりもってくれない?」