だけど――。
「おい、卯月秋葉」
そんな秋葉との様子を見て乗り込んできたのは清ちゃんだ。
「お前、花帆と別れたって本当か」
「ああ、本当だよ」
秋葉くんの答えに、クラスがざわつく。
「ああー」
「やっぱり本当だったんだ」
その答えを聞いて、清ちゃんが秋葉の胸ぐらをつかむ。
「てめぇ、花帆を傷つけたら俺が許さね――」
「やめて!」
私は二人の間に割って入った。
「秋葉は悪くないよ」
「そうそう。勘違いすんじゃねーよ。俺は花帆のことまだ好きだよ。でも、俺が一方的にフラれたんだから仕方ねーだろ」
あっ。
そういえば、別れたことにしようとは言ったけど、どっちからフったことにするとか、そういう話してなかった。
けど、秋葉の中ではそういうストーリーにしたんだ。
「そ、そうなの」
私はとりあえず話を合わせた。
「私が別れたいって言ったの。その……これ以上、秋葉の彼女を続けていく自信が無くて。やっぱり私じゃ釣り合わないから。だから……ね」
清ちゃんは、秋葉をつかんでいた手をパッと離した。
「……なんでだよ、花帆」
「えっ?」
清ちゃんは悲しそうに下を向く。
「俺はお前ら……結構お似合いだと思ってたのに」
清ちゃん……。
私はその言葉に何も言えず固まってしまった。
清ちゃんは優しいから、そう言ってくれるのかもしれない。
だけどやっぱり、私じゃ無理だよ。
秋葉の彼女はつとまらないよ。