店長さんは、うんうんとうなずく。

「ありがとうございます。ここの小豆は北海道産なんですが、季節によって仕入れ地を変えているんです」

「そうなんですか!」

「ええ。豆を煮る時間も、小豆の状態によって細かく変えたりして、こだわってるんです。餅米は親戚の家で育てているもので」

「ええーっ、凄いですね!」

 私は身を乗り出し、夢中になって店長さんの話を聞いた。

「プッ」

 すると、急に卯月くんが私の顔を見て笑いだす。

「な、なんですかいきなり、人の顔を見て笑うだなんて」

 私がビクビクしながら尋ねると、卯月くんは頬杖をつきながら笑う。

「いや? ただ、良い笑顔だなーって」

 毒舌王子の口から出た思わぬ褒め言葉。

 心臓がドクンと大きく高鳴る。

 な、何それ。

 私のこと、からかってるの?