「私、あの自衛隊の人が好きなんだ」

「俺はおじさん派だな」

「あのシーン、良かったよね」

「うん」

 二人で映画の感想を語り合いながらテレビを見る。

 初めての合コンは、思った通りにいかなくて失敗だった。

 だけど――フシギだな。

 こうして秋葉と二人で映画を見ていると、なんどか心が安らぐ。

 映画の好きなところや気になった所。

 秋葉とならいくらでも話せる気がするよ。

 男の人と二人、同じ屋根の下、こうして並んでテレビを見るなんて少し前までは考えられなかったのに。

 しかも、相手はあの毒舌王子の秋葉だし。

 まるで真夏の夜のふしぎな夢を見ているみたいだよ。

 ジジ。ジジ。

 遠くでセミが鳴く声がする。

 カーテンの隙間からのぞく、イルミネーションみたいな街の灯り。

 秋葉のキレイな横顔を、横目でこっそりと見る。

 窓からは、柔らかな月の光。

 秋葉の金の髪を、スポットライトみたいに照らしている。

 キラキラキラキラ輝いて、なんだか胸が切なくなる。

 この夜が明けなければいい。

 永遠に続けばいいのに。

 秋葉と、ずっとこうして二人で――。

 あ。

 その時、涙が一粒、ポロリとこぼれでた。