家に着くと、悠一さんはいなくて、部屋はしんと暗かった。

 どこかに出かけてるのかな。

「今日は兄貴は帰ってくるの遅いから二人で適当に晩ご飯食べててって」

 言いながら、秋葉がテレビをつける。

 タイミングよく、夏になると放送されるアニメ映画の予告が流れてくる。

「あ、今日この映画やるんだな」

 秋葉がテレビを指さして嬉しそうな顔をする。

 へえ、アニメが好きなんて意外。

 二人で晩ご飯を食べ、食器を片付けているとちょうどアニメ映画が始まった。

「ん」

 秋葉がソファーの横の席をポンポンと叩く。

 えっ……これって、横に座れってこと!?

 私がとまどっていると、秋葉がニヤリと笑った。

「ここの席、一番楽で見やすいぜ」

 ああ、そういうことかあ。

「……じゃあ、失礼します」

「おう、座れ座れ」

 私は、おずおずと秋葉の横に腰かけた。

 うわわっ、近い!

 秋葉と、肩や足が触れそうで……なんだか落ち着かない。

「一応、ブルーレイは持ってるんだけどね」

 秋葉がボソリと呟く。

「でも、こうやって日本全国同じものを見てる感じがいいんだよな」

 秋葉が子供のように目を輝かせる。

「……うん。いいよね」

 私たちは、二人でソファーに腰かけ、並んでテレビを見ることにした。