ビターなアイツと甘い関係 ~毒舌王子と同居して、ナイショの甘いバイトはじめました~


 振り向くのも怖くて、泣きそうになりながらひたすら走る。

 すると不意に腕をつかまれた。

「おい花帆、何やってんだ」

「ひょえぇええ!」

 パニックになって声を上げると、今度はがっしりと肩をつかまれる。

「おい、花帆、落ち着けって。俺だよ」

 私がパニックになっていると、目の前の男の人が私の顔を心配そうにのぞきこんだ。

 その声を聞き、ようやく目の前の人に焦点があった。

 サラサラの金髪に、色白の肌。

 まつ毛の長い大きな瞳に、すっと通った鼻。

 その背後に、ぽっかりと夜空に浮かんだ月が見えた。

「……秋葉」

「どうしたんだよ、大丈夫か?」


 大きく深呼吸をする。

 秋葉だ。

 目の前にいるのは秋葉だ。夢じゃないよね? 

 秋葉の顔を見た瞬間、私はなんだかすごくホッとして、泣きそうになった。