ビターなアイツと甘い関係 ~毒舌王子と同居して、ナイショの甘いバイトはじめました~

「花帆さん」

「はいっ?」

 適当にあいづちを打っていると、とつぜん名前を呼ばれてビクリとする。

「びっくりしたよ。初めはタイプじゃないと思ったけど、君と僕は趣味が合うと思う!」

 …………えっ?

「はぁ」

 私は全くそんな気がしないんだけど!?

 鳩場さんは私のどこを見てそう思ったの~!?

「え……ええっと」

 私が困っていると、鳩場さんはずい、と身を寄せてきた。

 ひゃあっ!?

 ざわりと鳥肌が立つ。

「全く、うちの学校の女子ときたら、偏差値は高いんだけど、やれアイドルだのイケメンだの軽い連中ばかりでね」  

「そ、そうなんですか……」

「だけどその点君は合格だ。僕の趣味も分かってくれそうだし、きっと僕の運命の人だ! 僕と付き合おうよ」

 えーっ!?

「あ、いえ、私は……」

 な、何なのこの人。

 気持ち悪い!

「どうしたの、花帆、顔が真っ青だよ」

 莉茉ちゃんが心配そうに声をかけてくれる。

「あ、あ、あの……その」

 私は大急ぎでカバンをつかむ。

「私、用事があるので帰りますね! さようならっ!」

 そしてカラオケ代を机に置き、一目散に店を抜け出した。

 ふう、良かった。

 これで鳩場さんから逃げられた!

 そう思っていたんだけど――。

「待ってくれ! マイスイートハニー!!」

 後ろから鳩場さんの声が追いかけてきた。

「待ってよ、送るよ!」

 ひええ~っ!!

 な、何で追いかけてくるの!?

 スイートハニーって何??

 っていうか怖い。

 怖いよ~!