「うん、似合う。後ろも見せろ」

 秋葉に言われた通り、試着室の中でくるくる回る。

 何だか恥ずかしいなあ。

「思ったよりいいね。着る前は少し地味かと思ったんだけど」

「お前、さっきからフリルだとかリボンだとか付いてる服ばかり見てたからな」

 私は恥ずかしくなって下を向いた。

「別にそういう服が好きな訳じゃ無いんだけど、合コンと言ったらそういう服かなって」

 私の言葉に、秋葉の動きがピタリと止まる。

「……何? お前、合コンに行くの?」

 あ、そういえば秋葉に話してなかったっけ。

「うん、莉茉ちゃんに誘われて仕方なくだけど……ダメだった?」

「いや、別に良いけどさ……俺はまたてっきり……」

 秋葉は明らかに嫌そうな声で言った。

「てっきり?」

「……いや。なんでもない」

 秋葉は少し下を向いて不満そうにした後、こう付け足した。

「まあ、俺は別にいいんだけどさ、クラスのやつらとか、俺のファンには見つかるなよ。俺ら、一応付き合ってるってことになってるんだから」

「う、うん、それはもちろん!」

 私はコクコクとうなずいた。

 秋葉、なんだか不機嫌そう。

 やっぱり合コンに行くのを黙ってたのが悪かったのかな。

 でも別にいいじゃん。本当に付き合ってる訳じゃないんだし。

 そう思いつつも、その日は何だかギクシャクしたまま一日が過ぎた。