「終わったよ」
ドライヤーのスイッチを切ると、
「ありがとう!」
水分を含んで重かった髪が、一気に軽くなる。
頭を左右に振ると、髪がサラサラと揺れた。
「モモの髪、いい匂い」
伊緒くんが私の髪をすくいあげると、ふわっと香るフローラル。
「伊緒くんだって同じシャンプー使ってるよ」
お風呂場には一種類しかシャンプーないもん。
伊緒くんの髪から、私と同じにおいがするのすっごい嬉しいんだ。
「モモの髪からにおってるからいいにおいなの」
「……っ」
それは……どういう意味?
そんなこと言われたらドキドキしちゃうよ。
すると、伊緒くんは私の髪に顔をうずめた。



