ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。


こつんと頭を小突かれて、パチッと目を開けた。


「この大音量で寝れるってどんだけだよ……」


伊緒くんは呆れたように言うけど。

伊緒くんに触れられてるだけで気持ちいいんだもん。もう、本能だ。


「モモ、新しいクラスはどう? 慣れた?」


ドライヤの機械音に交じって、聞こえてくる伊緒くんの声。


「うん、楽しいよ! カナちゃんと柚ちゃんて新しい友達もできたの」

「ああ、あの子たちね」

「えっ!?」


まるで知っているような口ぶりに、振り返ろうとしたら「前向いて」と体を戻される。


「この間、見かけたから」


なんだ、声かけてくれたらよかったのに。

クラスが違うと、なかなか学校内でも会う機会がなくてさみしいんだ。

普通クラスの生徒は新校舎に足を踏み入れちゃいけないなんて暗黙を聞いちゃったし、教室の前を通過することだってできない。