「お待たせ~」
転がるように階段を駆け下りてくるモモ。
「え?」
俺はすっと真顔になった。
「なにか?」
「なにその髪」
「ど、どうかな」
少し頬を上気させながら、恥じらうモモは髪に手を当てた。
いつもきれいなストレートの毛先が巻かれていた。
髪が巻かれているだけで雰囲気がグンと女らしくなっていて、思わず息をのむが。
「なに色気づいてんの?」
そんな可愛い姿を学校の男どもにさらすとか、俺が許すとでも思ってんの??
「……っ、そんな言い方……! べつにそんなつもりじゃ……」
モモは、しょんぼりした顔で毛先を触る。
はー、マジかんべん。
こんな可愛いモモ、ほかの男が見ると思ったらそれだけで気が狂いそう。
イライラしている俺に、泣きそうになりながら訴えてくるモモ。
「だって、クラスの女の子たちみんなおしゃれで、私ただでさえ童顔だから少しでも女子力あげたいなあって……」



