翌日。
「今日もおいしそう~」
目をつむりながら味噌汁の入ったお椀の湯気を鼻でかぐモモ。
料理するのはまったく苦じゃない。モモが喜んでおいしそうに食べてくれたらそれでいい。
「わ~、ほんとに美味しい~、伊緒くん天才神様~」
よくしゃべるモモは、味噌汁をすすりながら今日も舌好調。
どうせ俺は、なんでもできるお兄ちゃんとしか思われてない。
昔から、あれこれ世話を焼きすぎたのがいけなかったのかも知れない。
朝食が終わり。
もう家を出る時間なのに、支度に時間がかかってまだ降りてこないモモを階段下から呼ぶ。
「モモ―遅刻するぞー」
同じところへ行くんだ。もちろんこれからも一緒に登校するつもり。
「待って~」
なににそんなに時間がかかっているのか、二階からは部屋を動き回る足音が聞こえてくる。
朝からあわただしいやつ……。
ま、同じ高校に通えることになってよかった。
俺は玄関のドアにもたれかかりながら、数か月前のことを思い出した。



