そこは長年の付き合いっていうコネで、もみ消してください。

ドキドキしながら告げると、あっさり首を縦におろす伊緒くん。


「いいよ」

「ほ、ほんと?」

「その代わり、お仕置きが必要になるけどね」


お仕置き?
私、なにされちゃうの?

床下に閉じ込められるとか、ご飯ぬきとか、あれこれお仕置きを想像していると。


「ひっ!」


伊緒くんのやわらかい髪の毛が、首筋をなでてゾクゾクする。

そして。ふーっと耳に、吐息をかけてきた。


「~~っ……」


私、耳が弱いの。

それを知ってる伊緒くんは、こうしてイジワルしてくるんだ。

私にとっては、もうこれがれっきとしたお仕置きだ。

座ってるのに、膝から崩れ落ちちゃいそうだもんっ。


そのまま私の首に顔をうずめた伊緒くん。

直後、チクッと耳の下あたりにかすかな痛みが走った。


伊緒くん、いま、なにしたの……?

その理由も聞けないまま、私は魂がぬかれちゃったみたいに背もたれに沈み込んだ。