「ほんとモモって、抜けてるよね」
ククク……と笑う伊緒くん。
学力別のクラスがあったなんて、完全に盲点。
同じ高校だからって、完全に油断してた。
そうだよね。秀才の伊緒くんと私が同じわけないよね。
はあああ……がっくり肩を落とす。
これから先3年間、伊緒くんとは同じクラスになれないんだ。
そう思ったら、バラ色のはずの高校生活が一気にくすんで見えた。
「あ、美雪ちゃーん!」
その時私は、中学からの親友、鳥海美雪ちゃんを発見して大声で呼んだ。
美雪ちゃんはぱっと目を輝かせて手をふりながら走ってくる。
「桃~、同じクラスなんて奇跡だよ~」
くすみかけた高校生活の唯一の光。それは美雪ちゃんと同じクラスになれたこと。
「ほんとだよ~」



