【伊緒side】

モモの家にやってくるとき、段ボールに適当に必要なものを突っ込んできた。

家は隣だからいつでも取りに帰れるけど、面倒だし、漫画やゲームも入れて結局そのままになっていた。

いつまでも部屋に段ボールがあるのも邪魔だし、整理しようとして開けると。


「こんなの入れてきたっけ?」


一冊の漫画を手に取る。

持ってきた漫画に紛れてたんだな。

小学生の時に、流行った『毒舌執事』っていう漫画だ。

このヒーローにモモが憧れてるっていうから、どんな奴かと思って買ったんだ。

そしたらとんでもない男で。

こんなヤツを好きになるとか、モモのセンスを疑ったよね。

でも、そんなモモを好きになったのは俺だし。

少しでもモモの好みに近づこうって努力した結果、今の俺が完成したわけで。

まあ、それはそれで悪くなかったかなって。