がーん。
5組に伊緒くんの名前はなかった。
全部で12クラスもあるから、同じクラスになれる確率はものすごーく低いのはわかってたけど。
「ほら、行くぞ」
落ち込む私を促す伊緒くんの手には、プリントの山。
もちろん、全部同じやつ。
「す、すごいね」
感心しちゃう。
モテ方、異次元。
なのに、伊緒くんは涼しい顔。戸惑った様子もなくて、ただちょっとだけ疲れた顔をしている。
「伊緒くん、クラス見た? 同じクラスになれなかったね……」
しょんぼりして言う。
伊緒くんも、少しはさみしいって思ってくれたりしてる?
だって、私たち中学3年間奇跡的に同じクラスだったんだし。
伊緒くんだって……



