頬を膨らます私に、美雪ちゃんは手のひらを上にむけて呆れ顔。
そりゃあ、伊緒くんが頭がいいのは認めたいけど。アメリカの学校に行っちゃうのは嫌だ。
はぁぁぁ。
私は机の上にガクッと頭をつけた。
放課後。
私はひとりで家へ帰りながらも、ずっと考えるのは伊緒くんのこと。
長い人生で、学生で居られる期間はほんの少し。
同じ学校で過ごしてて、運命の人に出会えた……なんて思っても、そんなの卒業しちゃえば、一時の夢のなかにいただけ。
そこから先の方が長くて、大人になればまた広い世界で新たな出会いをして……。
私と伊緒くんだって、こうしていつまでも一緒に居られるわけじゃないんだよね。
はあ……。
なんだかモヤモヤしたまま家について、カバンからカギを取り出そうとして。
「あれ?」



