「え、なにあの子」
「葉山くんに入れてもらうつもり?」
「え~、ずるくな~い?」
背後では、女の子たちの不満そうな声。
こういうのは何度聞いても慣れないし、私なんかがすみませんっていう気持ちでいっぱいになる。
ただの幼なじみなんです……っ、て心の中で弁解して。
「何してるの? 行くよ」
振り返って私を見ている伊緒くんの隣に飛び込んだ。
「待っててよかったわ」
雨にかき消されそうな音量でつぶやく伊緒くんの声に、んっ?と耳を寄せれば。
「またあの変態男にちょっかい出されてんだから」
傘の柄でこつんと肩をたたかれる。
「へ、変態って、真柴くんのこと?」
「よくわかってんじゃん」



