昇降口につくと、この雨で足止めを食らっているのか、人だかりができていた。
やっぱり突然の雨だから、傘を持ってない人が多いみたい。
ごった返す人の中心で、ひょこり飛び出た頭をみつけた。
「あっ!」
すぐに分かった。伊緒くんだって。
胸の中がほわんとあったかくなる。
伊緒くんを見ただけで、私の体中のいたるところが刺激されちゃうみたい。
私の体は、もうそんな作りになってる。
だけど、伊緒くん周りにはいつも人がいっぱいいる。
今も、外の天気とは相反して、女の子たちの顔は明るくて。
外のお天気なんて関係ない。伊緒くんの回りはいつだってキラキラ輝いている。
伊緒くんが、どんどん手の届かない人になっちゃうよ……。
胸がぎゅっと苦しくなった。



