びっくりして真柴くんを見上げる。
ど、どうしたの……?
「女の子は愛された方が幸せになれるよ。俺ならたっぷり愛してあげるのに」
ま、真柴くん……?
いつものように軽口なのに、表情はどこか憂いていて、ドキッとした。
「や、やだな~」
さらりと交わして進もうとするけど、真柴くんは通してくれなくて、距離だけが縮まった。
制服を通じて、触れ合う腕と腕。思わずパッと離した。
「本気だよ?」
「で、でも……っ、私は伊緒くんが……」
「じゃあさ、お試しでいいから俺とつき合ってみない?」
「……」
「モモちゃんは、伊緒くんしか見てこなかったら他の男のこと全然知らないでしょ? もっと周りに目を向けてみてもいいと思うんだよね」



