そんな言い方されたら、もう断るなんてできなくて。
日誌を職員室に持って行き、並んで昇降口へ向かう。
空はさっきよりも暗くなっていて、雨も少し強くなってきた気がする。
ザーザーと降り続ける雨音をBGMに、ぼんやり窓の外を見ながら歩いていると。
「どうなの、その後”伊緒くん”とは」
「へっ?」
突然投げられた予想外の言葉に、声が上ずった。
まさか、伊緒くんのことを聞かれるなんて。
「べ、べつにっ……」
真柴くんにはバレバレだし、今更隠したってどうしようもないけど、やっぱり恥ずかしい。
「幼なじみのくせに、モモちゃんの気持ちに気づいてないんでしょ? そんな鈍感男やめて、俺にしなよ」
突然、目の前に手が伸びて。
真柴くんの手は壁について、私は進路をふさがれた。
「……っ!?」



