「いいよこのままで」

「だめだよっ、無理して食べなくていいから。なんなら洗って塩振って焼き直して─」

「甘いステーキもおいしいよ。たまにはいいんじゃない?」


俺はそのままナイフを入れ、フォークにさして口へ運ぶ。

べつに食えないわけじゃないし。

モモが作ってくれたってだけでうまいし。


「無理しないでいいんだよぉ……」


涙目になってるモモ。

そんな目されたら、襲いそうになるからやめてほしいんだけど。


「付け合わせの野菜はちゃんとしてるしうまいよ」

「ううっ……」


褒めたつもりなんだけど、ディスってると思ったのか、さらに目に涙が溜まるモモ。

ほんとに美味しいんだって。

モモにしては上出来。


「伊緒くん、ありがと……」


だって、モモが俺のお祝いに作ってくれたメシなんだし。

だけど。


「料理の分担制はもう少し様子見ようね」


モモは、鼻をずびずびいわせながらうなずいた。