*** 「今日は、お祝いに私が伊緒くんのためにご飯を作るね!」 帰ると、モモにそう言われた。 「えっ、マジで?」 それって、喜んでいいのかわかんねえ。 だって料理もろくに出来ないモモがお祝いで料理を作るなんて。 「何がいい?」 キラキラした目で俺を見つめるモモ。 「モモ……」 「え?」 あっぶね。 うっかり"モモ"ってリクエストするとこだった。 「じゃあ……ステーキ」 「ステーキ?」 「ああ、お祝いって言ったらステーキだろ」 これなら失敗しようがないだろう。 肉を焼くだけだ。