「狭かったんじゃなくて、伊緒くんが大きくなったんだよ」
「モモのくせに、なにわかったようなこと言ってんだよっ」
ピン──と指先で頭をはじかれた。
「いったーーーい」
今度は私が頭を押さえる番。
もう、伊緒くんてば!
あぐらをかいて座った伊緒くんの隣に、私も三角すわりをする。目の前には長方形の窓があって、いつもより少し高い位置の空が目の前に広がっている。
小さいころは、ここで伊緒くんとしょっちゅう遊んでた。秘密基地みたいで、いつもと同じことが特別に思えたりしたんだ。
伊緒くんがお母さんに叱られたーってうちにやって来た時も、ここに伊緒くんをかくまってあげたっけ。
そして、私もお母さんに怒られたんだけど。