──チュンチュン……チチチチ……。

半分開いたカーテンから朝の光がたっぷり降り注ぐベッドの上で、私──鈴里(すずり)(もも)は目を覚ました。

家の庭には緑がたくさんあるから、朝はいろんな鳥がやってくるの。

鳥の鳴き声で起きるなんて、贅沢な目覚めだなあ。


でも今は春休みだからまだ寝ていられる。二度寝って気持ちいいよね。もうちょっと寝ちゃおう。

すやあ……と、再び夢の中に入ろうとしたとき。


「起きて」


現実に引き戻す、低い声。

びっくりして目を見開くと、目の前には幼なじみの葉山(はやま)伊緒(いお)くんがいた。


「ひいっ……!」


ななな、なぜ、ここに伊緒くんが!?