「ゆらのっ、ごめんっっ!!!」

「またどうしたの?翼ちゃん」

これはお昼休みのデジャヴかな?

「ゆらのも気にしてくれている今度のオーディションなんだけど、あたし、今度こそ本気の本気で頑張りたいのっ!自分の人生かけて挑みたいのっ!だからこれからオーディションのある日まで放課後も休日もレッスンに励みたくて…」

あぁ、そっか…。

「うん、いいよ。わかった!寂しいけど放課後はひとりで帰るよ。私も翼ちゃんには頑張って欲しいし、受かったら自分の事以上に嬉しいと思うからっ!」

「ゆらの…」

ニコッと笑って言えば翼ちゃんの目にみるみる涙がたまってゆく。

「っ、ありがとう!あたし、頑張るよっ」

「うん、頑張れ!その代わり愚痴とか弱音とかとことん聞くからさっ」

「っ、ぐす…っ。天使かよっ」

翼ちゃんは何回も私とハグしたあと、名残惜しそうにしながら教室を後にした。

…さてと。私も帰るかな。

暫くは翼ちゃんとの放課後データはお預けかぁ。

やっぱり寂しいけど翼ちゃんは人生かけてるんだから我慢しないとね。