授業が始まるギリギリにやって、ようやく教室に向かった。
本当は今は高良くんの顔を見れないと思ったけど、授業をサボるわけにはいかなかったから。
「あ……いた」
教室に戻って早々に、高良くんと目があった。
それだけなのに、ズキッと心臓が痛む。
「戻ってこないから、心配した」
高良くんの表情には焦りが見えて、心配してくれたことが伝わってくる。
それがますます、私の頭を混乱させた。
高良くんは……本当は、何を考えているんだろう。
「なんかあった?」
顔に出てしまっていたのか、そう聞かれて慌てて平静を取り繕った。
「い、いえ、何もありません……!」
今日の補習は、いつも通りにしてやり過ごさなきゃ……。