「そんなわけ、ないよね?昨日、俺に好きって自分から言ったよね?」

「じ、自分からっていうかっ……」

流れに乗って言っちゃったっていうかっ……。


っていうか、久遠くん、本当に、こ、怖いんですけどっ……!ど、どうしちゃったの……!?


「……せっかく婚約したのにね、天音が嫌なら別れる?」

「そ、それは、やだっ……」


そしたら、久遠くんは他の人と婚約しちゃうんでしょ……?

ううっ……やっぱり複雑だっ……。


「ふふっ、そうだよね」

「っべ、ようちゃんガチでヤバイヤツダヨ」

「見てたらワカルワヨ!」

ふ、ふたりとも、カタコトすぎないかなっ……?


……でも、久遠くんのいまの口調って、愛らしくて好き、かも……。

「おっ!あーまねちゃん!」

「あっ……理人さん」


どうしたんだろう?

「もーう、さんじゃなくて、くん!」

「あっ、り、理人、くん……」


なんだろう……いま、目の前にいる久遠くんからものすごい量の殺気を感じる。

久遠くんはにこにこ笑っているけど、目が全くとして笑えてない。


「天音ちゃんは今日も美人さんだねぇ」

「そ、そんなこと、ないよっ……!!」

ぶんぶんと私は首を振る。