久遠くん、大丈夫かなっ……!?
「じゃあ、僕はこれで」
「あっ、送ってくれてありがとうございました!」
「いえいえ」
「さっさと失せろ」
なんだかとっても蘭くんからいけない悪口が聞こえた気がするけれど、聞かなかったことにして、教室まで送ってくれた伯斗先輩に手を振った。
「チッ……」
「もう、どうしたの?」
「なんでもない」
そんなわけないと思うんだけどなぁっ……なんだか獲物を見つけたオオカミさんみたいな顔してる。
「おーっはよ!天音!」
「あ!おはよー!陽奈ちゃん!」
「……蘭を手懐けたって、本当だったのね」
隣に立っている蘭くんを見て納得した表情を浮かべている陽奈ちゃん。
「て、手懐けたってっ……わんちゃんじゃらないんだからっ……!で、でも、仲良くしてもらってるんだ……!」
朝から話しかけてくれて、内心とっても嬉しかった。
「ふふっ、よかったわね」
「うん!」
横にいる蘭くんは喜んでくれているのか、頬が少し緩んでいるように見える。
「……なぁ、天音」
急に甘えるように私のお洋服の裾をぎゅっと握ってきた蘭くん。
その愛らしさに、胸がきゅんってなった。