「……だめだよ。無理したら」

「む、無理なんてっ……」

「ほら、行くよ」

「あっ……」

月城くんはちょっぴり強引に私の手を引き教室から出る。

つ、月城くんって、あんまり目立たないイメージなのに、優しいっていうか、なんていうかっ……。


廊下に出て、ボチボチと歩き出す。

「なにかあったの?僕でよかったら話し聞くよ」

「……実はっ……」

「うん」

私は、久遠くんに片想いしていること、そしてふられる女の子を見て日和ってしまったことを素直にペラペラと話してしまった。

なんていうか、月城くんは絶対にバラしたりしないって、信じられるオーラが出ている。

「そっか……。よしよし、よく頑張ったね」

そう言って月城くんは私の頭を優しく撫でた。

「っ……」

なんでだろう、我慢していた涙が溢れてくる気がした。

「ふふっ、僕の前では、いっぱい泣いていいよ」

「うっ……らいじょうぶ!」

ふたつぶ両目から溢れた涙。

でも、そこで私は目を擦りなくのはやめた。

「!……」

月城くんはハッとした目で私を見つめる。


ふふっ、私ってとってもバカだな。

っていうか、恋っておかしなものだ。

昨日まで大好きだったくせに、いまは情けない自分が怖くなった。