今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。

蘭くん、怒ってる……?

「もしかして、お前しか、女じゃないのか?従姉妹に女はいないのか?」

「あっ……そうなんだよね」

女の子なのは唯一私だけなのだ。

「はぁ?やばくね」

「そ、そうだよね」

さすがに、女の子の従姉妹が欲しかったよっ……。

「……おいお前!てんちゃんのなんなんだ!!」

「へっ!?ちょ、奏くん?!」

「……俺らはただの同級生だよ。な?久遠くん」

「……ああ」

……た、だの……同級生、か……。

「てんちゃん、オヤツ食べたーい!」

「わかったよ!じゃあみんなで食べよっか!」

秀くんの提案に乗り、家に入り手を洗い冷蔵庫に入っているケーキを取ろうとするけど……。

「んー!届かないっ……蓮くん……!手伝——」

「ほら」

後ろから密着してきたのは、蓮くんではなく……。

「く、久遠くん……!?ご、ごめんねっ……!ありがとう……!!」

久遠くんが私の後ろから冷蔵庫のケーキを取り出してくれた。

「ったく、取れないのに高いとこに置くな」

怒られるかと思いきや、私の頭を優しく撫で
てくれる久遠くん。

し、心臓ドキドキバクバクうるさいっ……!!

「ううっ……だって、パパがおいたんだもんっ……」

「……パ……パ……?」

「はっ!ち、ちがうっ……!!」

できるだけ意識して、両親をママパパ呼びするのは卒業しようとしているけれど、そううまくもいかないのだ。

「お父さん!お父さん背高いから、お母さんに意地悪して高いとこにいつも置くの!!」

お父さんはこれでもかって言うぐらいお母さんをいじめて泣かせるのが好きなのだ。