今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。

あ、あれ?

言われると思ってたこと、と、ちがう……?

「今日の勉強は天音の家でやる」

「えっ?ええええっ!?」

驚いていると、どこかからか鋭い視線を感じる気がした。

「ううっ……わ、わかったよ……」

「よし。じゃあ行くぞ」

「あ、うん」

蘭くんは私の机に置いてあった鞄を持って、歩き出した。

鞄、持ってくれるんだっ……意外と優しいな。



「に、荷物自分で待つよ」

「いや、いい」

「ええっ……わ、わかった……ありがとう……」

「おう」

やっぱり、蘭くんはツンデレかな。

「……天音」

「?久遠くん?」

気づけば久遠くんにぎゅっと服の袖を掴まれていた。

「ど、どうしたの?」

「俺も、勉強教えて」

「えっ?」

で、でも、久遠くんは成績トップじゃなかったっけ……?

「わ、私なんかより、頭いいのに……?」

「……俺、国語苦手だから」

「あっ……そ、そっか!わかったよ!」

みんなでお勉強を楽しくできるなら、それでいい……!!!

「おい。そんなのだめに決まってんだろ」

「えっ……?蘭くん……?」

な、なんだろう。

2人とも、バチバチしてる……?

「あ?なにお前の分際でんなこと言ってんだよ」