ピシッと敬礼をすると、陽奈ちゃんはクスクスと微笑みながらうんうんと頷いてくれた。
「あっ!!いた!!おい天音!!」
「わっ……!?蘭くん……!?」
び、ビックリしたっ……!!
名前を呼ばれ、後ろに振り向けばそこにはちょっと怒っているオーラを出して私の元へ歩いてきている蘭くんがいた。
「ど、どうしたのっ……?」
「……急にいなくなるからだろ」
「?……」
蘭くんの表情は“寂しかった”と言わんばかりになっている。
「も、もしかして、寂しかった……?」
「な!?ち、ちげー……し……」
「本当〜?」
からかうようにそう言うと、蘭くんがにこにこと微笑み出した。
「お前、舐めてんのか?」
「……?こ、怖いよっ……」
身長差のせいで、蘭くんの圧力が半端くかかる。
「っ、ズル。ほら、教室行くぞ」
「あ、う、うんっ……」
蘭くんに手を引かれ、教室に戻った。
そして放課後。
「ら、蘭くん……っ」
「あ?さっさと勉強すっぞ」
「じ、実はっ……」
さっき、お母さんから、従兄弟が家に今日くるって連絡がきて……。
お母さんもお父さんも仕事で忙しいから、面倒見てって頼まれてた、んだよね……。
蘭くんに勉強を教えてあげたい気持ちは山々なんだけどっ……。
「従兄弟の面倒を見なきゃいけなくてっ……」
「そうか。なら仕方ない」
「へ?」