「あはは、優しいね」

「そんなことないです!」


なでなでと優しく頭を撫でてくれる伯斗先輩。

よしよしされるの、好きだなぁ。

でもやっぱり久遠くんにされたいっ……!


「……あ、あのそれで……」

「ん?」

「告白の返事なんですけど……」

「あ……そっか。仲直りしたんだもんね。その指輪も」

「あっ……はい……」


久遠くんが、伯斗先輩から奪い返した指輪は私を縛るように指に通っていた。


「……大丈夫だよ」

「本当にごめんなさい……」

「ううん」


でも……。


「でも、私のことを好きになったくれて、ありがとうございました……!!」


そう言いながらぺこりとお辞儀をした。


すると伯斗先輩は目を丸くさせていた。


……感謝でいっぱいだ。

こんな私を、好きになってくれて。


「ううん……こちらこそ、ありがとう。ねぇ天音ちゃん」

「……?」

「これからも、先輩としてでいいから、仲良くして欲しい」

「……!はい!ぜひ!!」


えへへ……嬉しい。


「天音」

「あっ……!蘭くん……!蘭くん、あのね……」


いまがチャンスだ……!蘭くんにも、打ち明けよう。


「わかってる。お前が俺のことが無理なことぐらい。でも、これからも友達として攻めていくからな」

「あ、は、はい……!よろしくお願いします……!!」


蘭くんも、いい人でよかった……!!



……それから、私は教室へ戻るために廊下を歩いていると……。



「……天音」

「あっ……!久遠くん……!!」


なんだろう……さっきよりも、久遠くんの表情が曇ってる気がする……。


「……僕のこと、好き?」

「……へ?な、なんで急に……!?」


久遠くん……すごく不安そうな顔してる……。