今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。

ど、どうかな……。


この人顔色もいい方じゃないし、きっと疲れてるんだろうな。


「……じゃあお前に賭けてやる」

「!本当ですか!」

「ああ」

「じゃあ、私たちは味方同士ですね!」


これで、逃げる仲間が増えたっ……!!


「よろしくお願いします、皇河さん」

「……ああ。……お前、なんていう名前だ?」

「日向天音です」

「……天音、でいいか」

「はい!」


味方もできたし……。

不安はさっきよりはなくなった、けど……。


やっぱり久遠くんがいないと寂しい、な……。


「……お前、約束だからな」

「はい、約束です!」


……それからかれこれ2時間、とくにやることがあるわけでもなく、皇河さんの兄弟さんのお話や、私の従兄弟のお話で盛り上がっていた。



そして、ある時だった。

 
「おい!上杉が10兆持ってきたらしいぞ」

「はぁ!?10兆だ!?いくらあの財閥だとはいえそんな額!?」


ど、どうやら上杉家がそんなお金を用意していたそうです……。


……その時



バン!!!


ものすごい音がした。

おそらくアジトのドアが壊れたんだと、思う……。