「……そうなんですね」

「それで……この組織に絡まれて、無理矢理入れられた。特に人を攫ったりしたことはないが、連れてこられたヤツらの面倒を見させられてる。……それからの生活は、普通のヤツらよりは貧乏だけど、前ほどじゃなくなった」


……なんだか申し訳ないことを言わせちゃったな……。


「すみません、人の気も知らずに」

「いや別に……お前に言ったってなにかになるわけじゃないからな」

「……なにかにしてみせます」


この人を、救いたい……。


誘拐犯さんの手をぎゅっと握って、じっと綺麗な瞳を見つめる。


「きっと久遠くんが私を助けにきてくれます。その時に、あなたの事情を説明します、久遠くんに。きっと助けてくれます。」

「俺は金持ちは嫌いなんだ」

「助けたら、そのあとは私があなたを手伝います」

「……手伝う?」
  

おうちのことを手伝いに行くとか、兄弟さんの面倒見くらいはできる!


「おうちのお手伝い、兄弟さんの面倒見、ものによっては家庭教師もできます……!」

「……金は払えないんだぞ?」

「そんなことぐらいわかってますし、私は自分で好きで行くんです。」

「……そうか……」