「え、ええっ……」


どうしたって……。


「頭がいいからって、勝る理由にはならねぇだろ？それにお前は囚われてるくせに生意気なんだよ」

「あなたこそ！好きでやってないくせに生意気ですよ！」

「っ」


こ、この反応は図星だ……！

勝負してくれないことぐらいわかってる……だったらこの人に寄り添ってやる……！私の国語力で！


「なんでこんなところで誘拐犯をさせられてるんですか」

「はぁ？なに言ってんだよ」

「なに言ってるって、顔に書いてありますよやめたいって」　

「っ……」


やっぱり図星だ！


「いーですか、バレたくないなら感情を殺さなければいけません！」

「お前になにがわかるんだよ」

「なにもわかりませんよ。だから教えてください」


誘拐犯とはいえ、この人のことをいま私が救えるならやっぱり救いたいし、私的にも味方がいてくれた方が助かる。


「……俺のことを知ってなにになる」

「別に、とくになににもなりませんよ」

「じゃあなんで」

「困ってる人がいたら助かるって決めてるんで」


これは事実だ。


「……俺の家は父子家庭で……貧乏だ。兄弟が俺の下に何人かいるけど、養ったいける金が少ししかない」