たしかに……それで入口をがっちり固めて置いた方がいいかもしれない。


「……ああ。……颯。お前、俺たちだけの魔法の言葉があるだろ?」

「うん」

「言ってみろ」


なにかあったときに本当にその人物なのかわかるように幼い頃に決めたワードがあった。


「……ようちゃんは女神様」

「……よかったな」


コイツは本物だ。


「久遠は」

「天音は天使」

「よし」

「じゃあ行くぞ」




—久遠の教室—


「そこのソファに座ってろ」

「はいはーい」


颯と陽奈に命令をして、天音を抱きしめながらソファに座る。


すると天音が愛らしくクンクンと犬が匂いを嗅ぐように動いていた。


「どうしたの?」

「なんだか変な匂いがするの」

「え、僕?」

「ちがうよ!」


よかった……。


「な、なんか……前にお父さんに鍛えられた時に——」


その瞬間だった。


プシューと変な匂いがする煙が放出されて、僕たちは眠りに包まれた。

         
「あ……まね……」
                    
                    
天音を強く抱きしめて。